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ウはperunaのウ

外国語を学ぶとき、自分の母語にない発音を身につけるのって、大変ですよね~。
子音ももちろんですが、新しい母音を大人になってから習得するのは、なかなか骨が折れます。
フィンランド語の母音でいえば、Ä Ö Y の三つはやはり、日本人には難しいですよね。
(実際の音を聞いてみたい方はこの記事の一番下をご覧ください)

ですが、「楽勝」に見えて、ふたを開けてみると日本人が苦戦を強いられる母音が、フィンランド語にあります。
それは U です。

カタカナで書けば「ウ」ですし、日本語のウと同じじゃん、って、入門レベルのころは軽く考えてました。
そんなのより、Ä Ö Y とか、子音Rの巻き舌とか、そういうもののほうがいかにも難しそうで目立つので、そっちにばっかり気が行ってたんですね。
実際、フィンランド語は「カタカナ読み」でいけてしまう部分も多いので、「U」なんて気に留めてませんでした。

けれども実は、フィンランド語の授業のいっちばん最初、ABCの発音を習ったときに、日本人の先生が、「U」の発音は日本語の「ウ」とは違いますよと説明する中で、こんなことをおっしゃっていたのです。

日本に来たフィンランド人は、
「日本人は、(ローマ字で) U って書いてあるのにちゃんと発音してないじゃないか」
なんて言うんですよ。

「ローマ字で」って、たとえば地名の UENO (上野) とかですよね。
ふ~ん?と思ったけど、なんせ新しい外国語を学び始めたばかりの私はやることが山のようにあり、「ウ」に関するフィンランド人のいちゃもんについて、深く考察するヒマはありませんでした。

このとき先生がなにをおっしゃっていたのか理解したのは、それからだいぶたって、フィンランド語でどうにか会話ができるようになってからのことでした。
通じなかったんですよ。U の音が、フィンランド人に。
忘れもしない、その単語は TUULI (風)でした。
カタカナで書けばトゥーリです。でも、日本人が日本語の感覚で「トゥーリ」といっても、通じない。
ただの「ウ」じゃなかったのか…あのときは愕然としましたです。ええ。

ほかに、通じなかったことがある、と言ってる日本人が多い単語に SUKLAA (チョコレート)があります。日本語的「スクラー」ではやっぱ、わかってもらえないんですね…「U」のところが。

このTUULI事件の後、私は「U」の発音をあらためて練習し、言うときも聞くときもうんと気をつけるようになりました。

フィンランド語の「U」と日本語の「ウ」は、違う音なのですねぇ~。このふたつの間にある大きな違いは、「唇をとがらせるかどうか」です。

フィンランド語の「U」は、唇をとがらせる(すぼめる)ようにして発音します。タコというかひょっとこというか(笑)、とにかくそういう口元になります。「タコ度」が足りないと、フィンランド語の「U」の音が出ず、通じません。
日本語で普通に「ウ」というときは、唇は「とがっていない=タコ度がゼロ」なので、日本人が日本語の感覚で「ウ」って言っても、フィンランド語の「U」としてはアウトなんですね…。

いっぽうフィンランド人は、「U」という文字で示される音はこの「タコの唇」で出した音だと思ってるから、先生がおっしゃったように、日本人は「U」をちゃんと言ってない、なんて感じるんでしょうかね。
それと、日本語の「ウ」って、発音されてないことがあるようなので、それもあるかも。昔アメリカ人に、スキヤキって「SUKIYAKI」と書くけど、Uって実際には発音しないんだねって意味のことを言われたことがあります。
日本語式「スクラー」が通じないのは、そもそも「ウ」すら言ってないからかも。

IPA、いわゆる「発音記号」が解説されているここ(ウィキペディア)や、ここ(→東京外語大のサイト)の、「母音」のとこでいうと…

フィンランド語の「U」は、だいたい、最上段の右端の、u に似た記号で示される音のあたり
日本語の「ウ」は、おおむね、その左隣の、wの筆記体みたいな記号で示される音の付近

ということになるんですかね。私くわしくないんでこれ以上わかりませんが。
ここに書いてある「円唇」というのが、私が上で書いた「唇をとがらせる(すぼめる)=タコにする」のことです。

フィンランド語で、Uの音を練習するのに使える組み合わせじゃないかな、と私が思う単語の例…

PERUNA
PERNA

どちらもカタカナで書けば「ペルナ」になってしまいますよね。
でも意味がぜんぜん違います。
PERUNA のほうは、「じゃがいも」ですが、
PERNA のほうは、「脾臓」です(笑)

意味がぜんぜん違うってことは、この二つの単語のあいだにある唯一の違い、「U」の音が、決定的な役割を担っているってことですよね。

それにしても、「U」に関する「フィンランド人のいちゃもんエピソード」を話してくださった先生は、さすがだと思いました。そのときは何のことかわからなくても、学習が進んでから、「あっ、あのとき先生が言ってたのはこれかあ!」って気づきの瞬間が訪れる、そういう「たね」を初心者のうちから「さりげな~く」まいておいてくださる。これって実にありがたい話です。

★フィンランド語の音が聞けるサイト★
Tavataan taas!
これは外国人向けのフィンランド語入門講座です。英・仏・独語で読めます。サイト名の意味は「また会いましょう!」。
右下の jatka/continue で進んで、3ページ目がもくじです。
この中から、

Vokaalit/Vowels(母音)

を選んで、母音の音を聞いてみてください。
まとまりのある文章をしゃべってるのを聞きたい方はたとえば

Hei!/Hello!(女性の声)
Hauska tutustua!/Pleased to meet you!(男性の声)

のところなどいかがでしょう。
このサイト、練習問題とかもあって、入門~初級くらいで学習中の方の役にも立つと思います。

いろんなことばがあって、いろんな音があって、この地球はにぎやかで楽しいですよね♪

(2006.3.20 by mf)
関連記事「脾臓とじゃがいも」もどうぞ

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コメント

分かります~。私など、(フランス語で)いつまでたっても出来ない発音が山ほどあります。もう、勢いで、話して、文脈で理解してくれって思ってます。(笑)でも、一つの単語だけを発音すると分かってもらえなかったり。(涙)もっと日本語が、山アリ谷ありの音を持った言語だったらどれほど楽だったことか・・・・。

ところで、今頃なんですが、リンクはらせて頂ました。m(_ _)m

投稿 きち | 2006年3月21日 (火) 01:18

そういえば、Turkuが意外にも通じないということで、最近『u』の話題がでたことを思い出しました。誰と話してたときだろう、mfさんとこんな話、しましたっけ?
フィン語講座を取ったとき、anteeksiのtの音を英語ネイティブの人は注意するようにと先生が言ってました。英語のtは口先から強く出る音なので、フィン人の耳にはtに聞こえないことがあるようで。tの代わりにdを発音するような気持ちで、という先生のアドバイスが興味深かったです。この点では、日本語のtは強くないから、フィン人にも聞き取ってもらえるのでしょうね。発音ってほんと難しい。

投稿 chickpea | 2006年3月21日 (火) 02:40

こりゃまた、耳の痛い話題ですわ(笑)
かくいう私もこの「U」が発音できません。kuuntellaとか、言っても通じないんだなー。チェコ語のときは、クトナーホラの事件で子音の発音の重要性に気づいたけど、フィンランドでは、大丈夫と思っていた母音の発音に気づかされたのでした....。

投稿 まーらいおん | 2006年3月21日 (火) 05:59

うわ、音声マニアの血が騒ぎます。
おまけにちょうど今、日本語とチェコ語とフィンランド語(!!!)の母音を比較した論文を読んでいたりして。
(今はここまで、失礼します)

投稿 あやめ | 2006年3月21日 (火) 11:44

>きちさん、
フランス語も、日本人には難しい発音がいっぱいありそうですよねぇ~。単体で発音するとわかってもらえないってこと、ありますよね、外国語で。単語でなくアルファベット単独で言うのが意外と難しかったり…
リンクどうもありがとうございます!これからもよろしくお願いします。

>chickpeaさん、
Uについては、どうでしょう、お目にかかったときにはその話は出なかったかも?でも、たしかにTurkuって意外に通じにくいですね!tの音についても…なるほど、英語話者だと気をつけなくちゃならないんですねぇ。Lも母語によってフィンランド語のLが難しい人、いるみたいだし。おもしろい、けど難しい…

>まーらいおんさん、
いや、「U」ってマジで難しいですよねぇ。この音には、私を含むすべての日本人フィン語学習者が苦労してますよん、まーらいおんさんだけじゃないです。
日本人って、外国語の子音の嵐には絶対に苦労しますけど、「U」なんて一見かんたんそうな母音が意外と…ってのは、やはり実際に自分の口でしゃべってみてはじめて気がつくことだと思います。

>あやめさん、
えぇぇ~!!!そっその論文、私も読んでみたい~~~!!「日本語とチェコ語とフィンランド語」なんて、「読め」って言われてるとしか思えないです!ぜひ内容をブログにお書きくださいませ!!!

投稿 mf | 2006年3月21日 (火) 12:35

…ですね〜。Uもくせものです。
タコのわりに、中の空洞は広げるみたいな。
それから、私はイタリア語を話す時、sf-、sv-、sm-などのsが「す」に聞こえる、とよく指摘されます。
sの後に、どんなに注意しても、いくらかuが入ってしまうらしいです(しくしく)。
逆に、ミラノの発音は少しフランス語っぽくなまっているからか、oがuに近く聞こえるんです(きゃー)。
だからFaraona(ほろほろ鳥)のことを私は長年、「ふぁらうーな」だと思っていました。

投稿 麻。 | 2006年3月21日 (火) 16:02

>麻。さん、
子音の連続は日本人には難しいですよね~。ポーランド語なんか、子音のオンパレードだと聞くので、それだけでどきどき(?)します。
イタリア語でも、方言によって音の違いがけっこういろいろあるんですね~。こういうのも、実地で体験しないとわからないことですよね。
Faraona=ほろほろ鳥、という意味なんですか、へぇ~!

投稿 mf | 2006年3月22日 (水) 17:36

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