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時計の下で

「時計」というのは、ヘルシンキの老舗デパート・ストックマンの、エントランスにある時計のことです。

エントランスの写真が、ここ や、 ここ などにあります。←ちょっと重いかも~

STOCKMANN という文字のちょうど「K」の下あたりに、時計が吊り下げられているのが見えます。
アレクサンテリン通り(Aleksanterinkatu)側、三人の鍛冶屋さんの像の近くですよね。

この時計の下は、ヘルシンキではポピュラーな待ち合わせスポットのひとつです。
わたしも、ヘルシンキに住んでいる人と会うときに、ここを待ち合わせ場所として指定されたことが何度かありました。

ストックマンデパートの「ストックマンカード」、要するにいろいろお得なメンバーズカードですが、このシステムが20周年を迎えたそうです。
これを記念して出版されたちいさな本、というか冊子があります。タイトルは、『時計の下で』(フィンランド語:Kellon alla スウェーデン語:Under klockan)

プロの作家が書いた本ではありません。
ごく普通のフィンランド人がつづった、このデパートにまつわる思い出話を、集めたものです。
ストックマンの呼びかけにこたえて、108編もの応募があり、そのなかから60編が選ばれています。
フィンランド語で書かれたものとスウェーデン語のもの、どちらもあるのが、フィンランドらしいです。

1930年代からいままでの、いろんなひとの、いろんな思い出が語られています。すべてストックマンデパートで起きた出来事なんだなぁ。

子どものころ、ここへつれてきてもらうのは一大イベントだったこと、
ここで運命の女性に出会いひと目で恋に落ちたという男性、
戦争中のこと、
クリスマスのショーウィンドウ、
職場としてのストックマン、
いろいろいろいろ…

写真もたくさん掲載されています。
この冊子はそのまま、ヘルシンキの文化史を語る史料にもなっているんですね。
(ストックマンの歴史は、ストックマングループのサイトの ここ に)

普通の日本人であるわたしにとっても、デパートは子どものころから、うきうきする場所でした。
だれかと一緒にデパートへ行くのも、
だれかのためにデパートへ行くのも、
心が躍るイベントです。

心が躍るのは、
待ち合わせ場所でだれかを待っているときも、
だれかが待っていてくれるときも、
同じですね。

デパートという場所の持つ祝祭的な雰囲気と、
人と待ち合わせをするときのはずむ気持ち、
それらがまざりあって、
この時計の下は特別な場所になっているのでしょう。
時代を超えて。

(2006.6.21 by mf)

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