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2007年12月の1件の記事

サンタクロースを信じますか

(こんや、サンタさんがくるのを まっているひとは、ここからさきは よまないでね)

クリスマスイブです。フィンランド語で言えば jouluaattoヨウルアーット。
この季節になると必ず、

「いくつになるまでサンタを信じていましたか?」

という話題が出てきます。

わたし自身のことを言えば、
幼稚園のころは、サンタが実在すると信じていたような記憶があります。
でも、その後なにかのきっかけで「サンタ=親」と気づいてしまいショックを受けた
……というような、よく耳にするエピソードは、まったく記憶にありません。
ほんとうに、まったく。

「いくつになるまでサンタを信じていましたか?」
この質問には、実はなんとなく違和感を覚えます。
「サンタを信じていた?」
というけれど、この質問をする人が尋ねようとすることは、実際には
「プレゼントを持ってくるのはサンタという謎の存在だ、と信じていた?」
という内容であることが多いんじゃないかな。

プレゼントをくれるのが親だなんて、わたしはたぶん、小学1年生のときにはすでに
知っていたように思います。
でも、「サンタを信じる」という言葉の本当の意味は、
「プレゼントを持ってくるのがサンタだと思い込む」
ということとは、ちがうのではないでしょうか。

サンタを信じるというのは、わたしにとっては、
ムーミン谷を信じる、というのと同じかもしれません。

「ムーミン谷の存在を信じますか?」
もちろんです。
信じるも信じないも、存在していることを知っています。
行きかたも知っています。
ムーミンワールドやムーミン博物館のことじゃないですよ。

物理的にいえば、
ただ紙の上に記号が印刷されただけの物体なのに、
ひとたび手に取り、ページをめくり始めると、
そこに完全なひとつの世界が現れる。
書物とは、
まったくもって奇跡のような存在だ。

わたしは、ムーミンの原作本に夢中になっていた子どものころから、
そんなふうに思っていました。
もちろん、こんなむつかしい言い回しを知ってたわけじゃないけどね、
いま大人になってかつての自分の感じていたことを大人の言葉に翻訳すれば、
そんなふうなことでした。

紙の上にインクで書かれた「ムーミン谷」という記号を
「存在させているもの」、
それは、想像力、ではないでしょうか。
サンタクロースを存在させているのも。

これは地上の生物のうちで、人間にしか与えられていない力だと思います。
この力をただしく使うことができれば、
きっととても豊かな人生を送れます。
たとえば、
他人の痛みや喜びをわがこととして感じ、共有することも、
この力を使うことで可能になるのではないでしょうか。

大学のとき、アメリカ人の英語の先生がおっしゃっていたことを、
毎年今の季節になると思い出します。前にも書いたかな、これ。
「クリスマスの基本精神は、与えること(giving)です。
クリスマスって、プレゼントを"もらう"イベントでは
ないんですよ。」

なにかをもらうとき、想像力はあんまり関係ないかもしれない。
でも、与えようとするとき、相手のことを考えるとき、
そのときに必要なもの、それは想像力でしょう。

わたしたちは、
サンタクロースを信じ、存在させ続ける力を、
失ってはいけないと思います。

今年わたしが出会ったすべての人に、心穏やかなクリスマスが訪れますように。
きたるべき年が、だれにとってもすばらしいものでありますように。

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